心理カウンセラーは、人の心に寄り添い悩みを受け止める、ストレスの多い現代社会では重要な職業です。
しかし、社会的な意義のある仕事とはいえ、カウンセラー自身も精神的な疲労やストレスを感じやすい仕事でもあります。
実際に心理カウンセラーを行っている方の調査でも、「心理カウンセラーの仕事は大変」と感じている方は約50%いました(教室おけいこ見つけ隊)より。
こうしたカウンセラーの方の現状は、これから勉強・目指していきたい方にとっても「続けられるかな?」という不安につながってしまう恐れも。
そこでこの記事では、心理カウンセラーの仕事が「きつい」と言われる理由から、きつさ和らげる対策などについてご紹介していきます。
心理カウンセラーの仕事が「きつい」と言われる理由9選

心理カウンセラーの仕事は、人の心に寄り添うやりがいのある職業ですが、その分だけ精神的・肉体的に負担を感じる方も少なくありません。
実際に現場では「想像以上に大変だった、、、」「メンタルの強さが必要!」と感じる声が多く聞かれます。
まずは、心理カウンセラーの仕事がきついと言われる主な理由を具体的にご紹介しながら、その背景にある事情について解説していきます。
悩みを受け止める精神的な負担
心理カウンセラーは、クライアントの深い悩みやトラウマを日々受け止める仕事です。
相手の苦しみに共感しながら話を聞く必要があるため、強いストレスを感じることも多いです。
特に経験が浅い時期は、相手の気持ちに引きずられすぎてしまい、自分まで落ち込んでしまうケースも。
職業的に「感情の距離感」を取ることが重要ですが、そのバランスを掴むのは簡単ではありません。
共感力が強い人ほど疲れやすく、カウンセラー自身のメンタルケアも欠かせないのです!
成果が見えにくいことも
心理カウンセリングは、医療やビジネスのように明確な成果を数値で示せる仕事ではありません。
クライアントの変化はゆっくりとしたもので、目に見える改善が現れるまでに数か月、場合によっては数年かかることも。
そのため「本当に自分は役に立てているのか?」「意味があるのか?」と不安になる瞬間が訪れることは多いです。
焦らずに長期的な視点を持ち続けることも大切ですが、それには忍耐力が必要になってきます。
また、成果が出ないケースでもサポートを続ける姿勢が求められるため、精神的なタフさも欠かせません。
モチベーションの維持が難しく、燃え尽き症候群に陥る方もいます。
収入面の不安定さ
心理カウンセラーの収入は、働く環境や雇用形態によって大きく異なります。
公的機関や病院などの常勤職であれば安定した収入を得やすい一方、非常勤や個人開業の場合は、月ごとの相談件数で収入が変動します。
そのため、生活の安定を保つのが難しいと感じる方が多いのも現実です。
また、資格の種類や経験年数によっても待遇が大きく異なり、国家資格を持たないカウンセラーは社会的な信用面でも不利になることもあります。
安定を重視するなら、「複数の職場を掛け持ちする」「キャリアアップを見据えて専門資格を取得する」「副業をする」などの工夫も必要になってきます。
経済的不安が精神的なストレスに繋がることもあるため、現実的な収入設計を立てておくことが大切です!
勤務時間が長い
心理カウンセラーの仕事は、面談だけで終わりません。
カウンセリング後には、記録作成やケースの検討、同僚などとのミーティングなど多くの業務があります。
相談内容が重い場合は、面談が延びて夜遅くまで残業になることも。
さらに、学校や企業などで働く場合、相談者のスケジュールに合わせて夜間や休日に対応することも出てきます。
勤務時間が不規則になりやすく、体力的にも負担がかかるのです。
休息の取り方を工夫しないと、知らず知らずのうちに疲労が蓄積し、心身のバランスを崩してしまうこともあります。
人間関係や組織内ストレス
心理カウンセラーの働く環境は、病院や福祉施設、学校、企業、自治体など多岐にわたります。
他の職業でも同じですが、職場によっては上司や同僚との意見の違い、サポート方針のズレなどからストレスを感じることもあります。
チーム医療や教育現場では、カウンセラーの意見が受け入れられにくい場合もあり、孤立感を覚えること方も少なくありません。
人の悩みを扱う仕事でありながら、”自身も職場の人間関係に悩む”というジレンマを抱えやすいのも現実
です!
専門性の高さと継続的な学びが必要
心理カウンセラーの世界では、学び続ける姿勢が必須です。
心理学は日々新しい研究が発表され、理論やアプローチも進化しています。
資格を取得して終わりではなく、研修やスーパービジョン、学会などを通じて最新の知識を吸収し続けなければなりません。
特に臨床心理士や公認心理師として働く場合、専門性の高さが信頼に直結するため、学びを怠ることは仕事の質の低下にもつながります。
忙しい中での勉強は負担に感じることもありますが、スキルアップを続けることで自己成長や信頼の獲得につながります。
無力感に悩まされることも
心理カウンセラーは、どれほど真剣に取り組んでも、必ずしも全ての相談者を救えるわけではありません。
信頼関係が築けないまま面談が終わってしまうこともあれば、カウンセリングが思うように進まないこともあるでしょう。
そうした経験が続くと「自分には向いていないのでは、、、」と感じ、無力感に襲われることも。
特に経験の浅い時期には、この壁にぶつかる方が多いです。
そのため、結果だけでなく「寄り添い続けたプロセスそのものに価値がある」と考えることが大切です。
振り返りを行い、スーパービジョンや他の専門家との意見交換を通じて、自分を客観的に見つめ直すことが、成長と自信回復の糸口になります。
境界線の設定が難しい
支援職である心理カウンセラーにとって、相談者との適切な距離を保つことはとても重要です。
カウンセラーによっては、真摯に向き合うあまり、プライベートの時間にも相談内容を思い出してしまうこともあります。
また、職場によっては業務時間外に対応を求められるケースもあり、その場合、心の切り替えが難しくなります。
こうした状況を放置すると、仕事と私生活の境界があいまいになり、長期的な消耗やバーンアウトにつながります。
「自分の中で明確なルールを設ける」「職場全体で相談体制を整える」などが大切になってきます。
「心理カウンセリングは意味がない」とネガティブな印象を持たれることも
心理カウンセラーの資格には国家資格だけでなく、民間資格や通信講座で取得できるものも存在します。
そのため、世間では「どれが信頼できる資格なのか分からない、、、」と混乱が生じることがあります。
この誤解が原因で「心理カウンセリングは意味がない!」「誰でも名乗れる職業!」といった偏見を持たれるケースも少なくありません。
こうした社会的な認識の低さが、心理カウンセラーの仕事のやりがいを損なう一因になることも。
信頼を得るためには、資格の種類や活動実績をわかりやすく発信し、専門性を示していくことが大切です!
心理カウンセラーの仕事できつさを和らげる対策


深刻な悩みを抱えた相談者と向き合うこともあるため、心理カウンセラーは精神的・肉体的にきついこともあります。
長く働くためには、心の負担をうまく軽減し、セルフケアを習慣化することが欠かせません。
ここでは、仕事のきつさを和らげ、前向きに続けるための具体的な方法についてご紹介していきます。
自分の感情をコントロールする
クライアントの感情に過度に引きずられないようにするには、セルフモニタリングの意識が大切です。
「感情の起伏を記録する日記をつける」「セッション後にリフレクションの時間を持つ」などで、自分の心の動きを整理できます。
また、深呼吸やマインドフルネス、短時間の瞑想などを取り入れることで、緊張や疲労を和らげることもできます。
自分の心をケアすることは、相談者を支える力を維持するための最も重要な基盤なのです!
プライベート時間を大事にする
心理カウンセラーの仕事は、人と向き合う時間が多いため、プライベートでは「一人の時間」を意識して確保することも大切です。
読書や散歩、軽い運動など、自分をリセットできる時間を持つことで、心のバランスを保てます。
もちろん、家族や友人との何気ない会話も、精神的な支えになります。
仕事とプライベートをしっかり分けることで、日々の業務にも新鮮な気持ちで取り組めるようになるでしょう!
やりがいを見出す
心理カウンセラーの仕事には、目に見える成果が少ない反面、確かな成長の瞬間が存在します。
相談者の表情が少し明るくなったり、以前よりも前向きな発言が増えたりするだけでも、それは大きな変化です。
そうした小さな進歩に気づける感性を持つことで、やりがいが感じやすくなっていきます。
「人の人生に寄り添える」という誇りを持ち続けることが、長く働くうえでの支えになるのです。
信頼できる同僚・上司に相談する
心理カウンセラー自身も、悩みや不安を誰かに話すことで楽になることがあります。
スーパービジョンやケースカンファレンスなどの仕組みを活用し、経験豊富なカウンセラーや上司に相談することは非常に効果的です。
また、同じ立場の仲間と話すことで共感を得られ、孤独感がやわらぐことも少なくありません。
職場内で相談しづらい場合は、外部のカウンセリングを受けることも視野に入れましょう!
働く環境を見直す
心理カウンセラーの働く場所は多岐にわたります。
現在の職場環境に強いストレスを感じるようであれば、職場を変えることも前向きな選択です。
病院や教育現場、企業カウンセラー、地域支援センター、さらにはオンライン相談など、自分の性格やライフスタイルに合った働き方を模索していくことも大事です。
自分にとって心地よい環境を見つけることで、長期的なキャリアの安定にもつながります。
学びとスキルアップをする
心理カウンセリングは常に進化しており、最新の心理療法やアプローチを学ぶことは、専門家としての自信を深めるうえで欠かせません。
トラウマケアや認知行動療法、カップルカウンセリングなど、興味のある分野を広げていくことで、自分の可能性も広がります。
学び続ける姿勢は、相談者はもちろん、同じ職場で働く同僚への信頼にもつながり、仕事への満足度を高める要因になります。
一般的な仕事でも同じように、十分な休息や趣味の時間、軽い運動、睡眠などはカウンセラーにも必須なのです!
心理カウンセラーに向いている人の特徴


心理カウンセラーに向いている人は、他人の感情に寄り添いながらも自分の感情を適切にコントロールできる人です。
相手の立場に立って話を聴ける共感力と、冷静に状況を分析する論理的思考のバランスが求められます。
また、継続的に学ぶ意欲があり、自分自身の心の健康もきちんと管理できる方は、心理カウンセラーとして長く活躍しやすい傾向があります。
人の成長や変化を支える仕事にやりがいを感じられるかどうかも、カウンセラーとしては重要です。
失敗や壁に直面しても前向きに改善策を探せる方は、心理カウンセラーとして成長しやすいでしょう!
心理カウンセラーに向いていない人の特徴


心理カウンセラーに向いていない人は、自分の感情をコントロールするのが苦手で、相手の悩みに過度に引きずられてしまう傾向が強いです。
また、「すぐに結果を求めるタイプ」「相手を自分の価値観で変えようとする」ような方も不向きと言えるでしょう。
心理カウンセリングは時間をかけて信頼関係を築く仕事であり、短期的な成果が見えにくい場面も多くあります。
そのため、忍耐力がない方や感情の浮き沈みが激しい方は、ストレスを感じやすい場面も出てくるのです。
もちろん守秘義務や倫理観を軽視してしまう方は、この職業を続けるのが難しいのが現実です。
最初は「向いていない」と感じていても、心理学の勉強や資格を取る上で成長し、カウンセラーとして活躍できる方になっていくケースも少なくありません!
心理カウンセラーを目指す具体的な方法


心理カウンセラーになるには、資格の取得や実務経験の積み方が大切です。
ここでは、心理カウンセラーを目指す際に押さえておくべき資格取得の流れ、就職・転職に向けた実践的なステップについてご紹介していきます。
必要な資格と学び方
心理カウンセラーとして働くためには、国家資格である公認心理師や民間資格の臨床心理士などを取得するのが一般的です。
こうした資格は、大学や大学院で心理学を専攻し、必要な単位を修得することで受験資格を得ることができます。
また、心理カウンセラーの資格の中には、通信講座や専門スクールを活用することで取得できるものも多いです。
自宅での学習なら、日頃は仕事で忙しい社会人でも学びやすい環境を整えることができます。
就職・転職に向けた経験の積み方
資格を取得した後は、実際の現場で経験を積むことが欠かせません。
病院や学校、福祉施設、企業のカウンセリング室など、さまざまな職場で心理支援のスキルを磨くことができます。
ボランティアや実習の機会を活用することで、現場のリアルな課題・カウンセリング技法などを学べるでしょう。
経験を重ねることで信頼とスキルが身につき、より多くのクライアントを支えられる専門家へと成長できます。
自分の将来像・目的に合わせて、「どの資格を目指すか?」を明確にしましょう!
心理カウンセラーの平均年収と働き方


心理カウンセラーの収入は、勤務先や雇用形態、保有資格、経験年数によって大きく変わります。
最後に、心理カウンセラーの平均年収の目安や副業・独立の際のポイントなどについて解説していきます。
平均年収の目安
心理カウンセラー全体の平均年収は、300万円〜500万円前後が目安です。
病院や福祉施設に常勤で働く場合は比較的安定した給与が得られますが、カウンセリングルームを開業している人や非常勤で複数の職場を掛け持ちしている人などは、収入に波があります。
資格や実績、専門分野の知識を積み重ねることで、より高収入を目指すことも可能です。
特に臨床心理士や公認心理師などの難易度の高い資格を持つ方は、専門性を活かして大学や研究機関で働くケースもあります。
勤務先による違い
心理カウンセラーの主な勤務先には、病院や学校、企業、福祉施設、行政機関などがあります。
病院では医療チームの一員として患者の心のケアを行い、学校では生徒や保護者へのカウンセリングを担当します。
企業ではメンタルヘルス研修や社員相談を行うこともあります。
職場によって求められるスキルが異なり、専門知識に加えて柔軟な対応力も求められます。
自分の得意分野や興味のある領域に合った働き方を選ぶことで、ストレスを軽減しながら長期的に続けやすくなります!
副業・兼業・独立の際のポイント
最近では、ネットなどでのオンラインカウンセリングで副業を行う方も増えています。
ただし、守秘義務や契約条件には十分な注意が必要です。
独立して開業する場合は、収入が安定するまでに時間がかかることが多いため、事前の準備も欠かせません。
ホームページやSNSを活用して集客したり、他の専門家(医師、弁護士など)と連携して信頼を築くことが成功の鍵になります。
税務や会計など事務的な部分も自分で行う必要があるため、経営的な視点を持つことも必要です!
まとめ
心理カウンセラーの仕事は、確かに精神的な負担が大きく、簡単ではありません。
しかし、その一方で、人の人生に寄り添い、回復や成長の瞬間を共にできる尊い仕事ともいえます。
大切なのは、きつさを無理に我慢するのではなく、自分の感情を丁寧に扱いながら、サポート体制や環境を整えることです。
同僚との連携や定期的なセルフケア、学びの継続を意識することで、心理カウンセラーとしてのキャリアを長く、豊かに続けることができます。
”心理カウンセラーとしてのきつさの先にあるやりがい”を信じ、自分自身も成長しながら、誰かの心を支える力になっていきましょう!







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